「毎年3万円を配るなんて、国の財政がもたない」――そう感じた人も多いだろう。
しかし、数字で検証すると、見えてくる世界はまったく違う。
※本稿は、前稿「我々欲マイナポイント制度」に基づく財政的検証篇です。制度の思想的背景や全体構造については、先に下記をご参照ください。
我々欲マイナポイント制度|Japan Municipality Financial League 提言書
「我々欲マイナポイント制度」は、支出ではなく投資である。
10年間でROI(投資利益率)589.8%。
“累積コスト”ではなく“累積削減”の構造を、具体的な数値で見ていこう。
従来の批判:「累積コストが膨らむ」
従来の地方創生政策では、
「交付金」や「補助金」を毎年の歳出として積み上げてきた。
結果として、
- 支援が止まれば自治体は再び赤字に
- 国の歳出は減らない
- 財政赤字が慢性化
という「依存のスパイラル」に陥っていた。
「我々欲」モデルの転換点
マイナポイント3万円を行動経済学的インセンティブとして設計した本制度は、
初年度から国の財政にプラス効果をもたらす構造になっている。
項目 | 初年度の効果 |
---|---|
マイナポイントコスト | 0.24兆円 |
地方交付税削減効果 | 1.11兆円 |
純削減額 | 0.87兆円 |
つまり、1年目から黒字化する制度である。
10年間のシミュレーション結果
指標 | 金額(兆円) | 備考 |
---|---|---|
マイナポイント総投資額 | 2.4 | 10年間、毎年同水準で実施 |
地方交付税削減総額 | 16.56 | 自治体の自立が進むにつれ効果拡大 |
純削減効果 | 14.16 | 国家財政の改善分 |
ROI(投資利益率) | 589.8% | 投資1に対して6.9倍のリターン |
10年間で地方交付税総額の約75%に相当する削減効果が得られる。
つまり、これは「地方を救いながら国の財政を立て直す」仕組みである。
「累積コスト」ではなく「累積削減」という発想
この制度の本質は、“支援が支出ではなく構造改革になる”点にある。
- 支援を受けた自治体は昇格・降格制度で自立を目指す。
- 自立自治体が増えるほど、国の負担が年々減る。
- よって「支給を続けるほど歳出が減る」パラドックスが生まれる。
これは「累積コスト」ではなく「累積削減」の構造である。
マイナンバーカードは「副次効果」にすぎない
よくある批判に「マイナンバーカード普及のエサでは?」という声がある。
だが、この制度の主目的は地方創生と財政健全化にある。
マイナンバーカードの活用は、
むしろ事務効率化や行政コスト削減につながる“副次的恩恵”だ。
デジタルインフラを用いて、支援の可視化・追跡性を担保する。
「毎年更新制」がつくる民主的統制
- 同意は毎年更新される。
- 住民が成果を実感できなければ離脱できる。
- 自治体は「成果を出す」ことで継続的支援を得る。
これにより、制度そのものが住民満足度をKPI化した民主的構造となる。
つまり、「国民が選ぶ地方交付税」という新しい形だ。
結論:支出で終わらず、構造を変える
「我々欲マイナポイント制度」は、単なる再分配ではない。
それは、支出によって歳出構造を変革する制度である。
10年後、国は14.16兆円を節減し、
自治体は自立し、
国民は3万円の幸福を得る。
この方程式こそが、「Weconomy(我々経済)」の核心である。
結語
公共の投資は、未来の仕組みを変えるためにこそある。
マイナポイント3万円は“支給”ではなく“構造の更新”。
「我々欲」という思想は、財政を希望の言葉に変える試みだ。
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