あなたの手のひらに、何個のマス目がありますか?
金網フェンスの前に立って、手のひらをかざしてみてください。手のひら一枚分の範囲に、いったい何個のマス目があるでしょうか?
大人の手のひらの面積は約100平方センチメートル。もしそれが1センチ四方の網目なら100個、5ミリ四方なら400個のマス目があることになります。こうして実際に自分の体と比べてみると、普段は気にも留めない「網目の密度」が、急に身近な数字として感じられませんか?
発芽ブログの手法で見ていきましょう。
小さな差が生む、大きな違い
「1センチと5ミリ、たった5ミリの差じゃないか」
そう思うかもしれません。でも算数の世界では、この「たった5ミリ」が驚くほど大きな違いを生み出します。
1平方メートルの比較実験
- 1センチ網目:縦100個×横100個=10,000個のマス目
- 5ミリ網目:縦200個×横200個=40,000個のマス目
なんと4倍の差!教室一つ分のフェンス(約50平方メートル)で計算すると、1センチ網目が50万個に対し、5ミリ網目は200万個。まるで別世界の緻密さです。
「太さ」が決める強さとお財布事情
金網を支える鉄線の太さも、算数で見ると面白い発見があります。
直径2ミリの針金と3ミリの針金。見た目はちょっとした差ですが、実は重さ(=材料費)に大きな影響を与えます。
面積の法則で計算してみましょう
- 直径2ミリ:断面積=π×1²=約3.14平方ミリ
- 直径3ミリ:断面積=π×1.5²=約7.07平方ミリ
同じ長さの針金でも、重さは約2.25倍の差!つまり3ミリの針金を使えば強度は上がりますが、材料費も2倍以上かかる計算です。お店でフェンスの値段を見るとき、この「太さの算数」が価格に隠れているのです。
身近なサイズで実感する「巨大な数字」
近所の小学校を思い浮かべてください。校庭を囲むフェンスの長さは、だいたい400メートルほど。高さを2メートルとすると、面積は800平方メートル。
もしこれを5ミリ網目の金網で作ったら…
800平方メートル × 40,000個/平方メートル = 3,200万個
3,200万個のマス目!これは日本の人口の4分の1に相当する数字です。普段何気なく見ている学校のフェンスに、こんなとてつもない数の小さな「窓」が開いているなんて、想像できましたか?
動物園で出会う「円の算数」
動物園の大きな鳥かごを見たことがありますか?あの球体状のケージも、実は算数の宝庫です。
直径20メートルの球形のケージの場合:
- 表面積 = 4πr² = 4π×10² = 約1,256平方メートル
これを5ミリ網目で覆うと、なんと約5,024万個のマス目が必要!鳥たちが自由に飛び回れる空間を作るために、これだけ膨大な数の小さな「自由の窓」が組み合わされているのです。
あなたの周りの「算数フェンス」を探してみませんか?
この記事を読み終えたら、ぜひ外に出て金網フェンスを見つけてみてください。そして、こんな「算数の目」で観察してみましょう:
- 手のひらをかざして「マス目の個数」を推測する
- 「この太さの針金なら、材料費はいくらかな?」と想像する
- 「全体で何個のマス目があるんだろう?」と計算してみる
すると、いつものフェンスが数字でできた「巨大なパズル」に見えてくるはずです。
まとめ〜数字が語る、もうひとつの金網物語〜
網目の大きさ、針金の太さ、面積の計算。算数の視点で金網を見ると、そこには私たちの想像を超える「数字の宇宙」が広がっていました。
1センチと5ミリの違いが4倍の密度差を生み、直径1ミリの差が材料費を2倍以上変える。身近なフェンスに、数千万個ものマス目が隠れている。
算数は、日常の中に潜む「見えない物語」を数字で照らし出してくれる、魔法のような道具なのかもしれませんね。
シリーズ案内

この記事は「発芽ブログワークショップ」金網編の算数的視点でした。同じ金網を、国語では「フェンスの向こうに広がる景色」として、理科では「材質と製造の科学」として、社会では「暮らしと社会を支える境界の技術」として掘り下げます。一つの題材が見せる多彩な顔を、ぜひ他の記事でもお楽しみください。




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