「Weconomy(ウィコノミー)」という言葉を聞いたことがあるだろうか。
“私たち(We)”と“経済(Economy)”を掛け合わせた造語であり、
21世紀の資本主義の限界を超える新しい潮流を象徴している。
私はこの言葉を日本語に訳すとき、こう呼びたいと思った。
「我々欲(われわれよく)」──我欲の反対ではなく、その進化形として。
Weconomyの起源:共有と共創の時代へ
2008年のリーマン・ショック以降、世界の経済思想は変化した。
「個人の成功=社会の成功」という前提が揺らぎ、
UberやAirbnbに代表されるシェアリング・エコノミー(Sharing Economy)が生まれる。
この流れの中で、
「Weconomy」=私たち全体で価値を創る経済
という言葉が英国や北欧の社会起業家の間で使われ始めた。
当初の意味は「コラボレーション」「共感経済」「社会的起業」。
やがて、
The Rise of Weconomy(我々経済の台頭)
というタイトルで Harvard Business Review にも登場する。
世界は「Me(私)」から「We(私たち)」へ、
競争から共創への転換期を迎えていた。
日本的再定義:「Weconomy=我々欲」
日本語に「Weconomy」を訳すとき、
多くの人は「共創経済」や「連帯経済」と訳す。
だが、そのどれもがどこか乾いている。
そこで私は、「我々欲」という言葉をあてた。
なぜなら、
「欲」は本来、悪ではなく、生きる力の源だからだ。
我欲(Meconomy)は、
「自分だけが得をする」経済。
我々欲(Weconomy)は、
「自分も他者も、共に満たされる」経済。
それは倫理ではなく、構造である。
分け合うほど潤う。支援するほど強くなる。
そんな循環構造をデザインするのが、我々経済の思想だ。
我々経済の3つの原則
- 共感資本:共に感じ、共に動くことが最大の通貨になる。
- 循環構造:与えることが次のリターンを生む。
- 自立支援:支えることが依存ではなく成長を促す。
この3原則は、まさに「我々欲マイナポイント制度」に通じる。
港区民が夕張を支援しながら、自分も幸福になる――
それは「分配」ではなく「共鳴経済」だ。
Weconomyの歴史的背景
年代 | 世界の動き | キーワード |
---|---|---|
2008年 | リーマンショック | 新自由主義の限界 |
2010年代初頭 | 欧州で「Weconomy」提唱 | Social Business / Co-creation |
2015年 | シェアリングエコノミーの拡大 | Uber, Airbnb, TaskRabbit |
2018年 | Harvard Business Review掲載 | The Rise of Weconomy |
2020年代 | AI・Web3・DAO時代へ | 分散協調経済 / Participatory Capitalism |
2025年(日本) | 我々欲マイナポイント制度 | 関係人口×財政連携=Weconomyの実装 |
「欲」を再定義する
経済はもともと、「経世済民」――世をおさめ民をすくうための学問だった。
それがいつしか、「利益を最大化する技術」になった。
だが、欲を抑えるのではなく、欲をつなぐ。
個人の願いと社会の幸福が矛盾しない構造。
それが「我々欲」の核心である。
「与える」も「欲する」も、同じ根から生まれる。
生きる力を奪わず、響き合わせる経済。
それがWeconomy=我々経済。
結語
Weconomyは単なるトレンドワードではない。
それは、分断の時代に生まれた**新しい“つながりの経済”**だ。
日本語に訳すなら、やはり「我々欲」がふさわしい。
我欲から我々欲へ。
この小さな言葉の転換が、未来の経済を変えていく。
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