たった一つの「金網」から、これだけの発見があったなんて
「金網なんて、どこにでもあるただのフェンスでしょう?」
シリーズを始める前、あなたもそう思っていたかもしれません。でも4つの記事を読み終えた今、きっと金網を見る目が変わったのではないでしょうか。
4つの視点で見えた、金網の多面性
国語の感情、算数の数字、理科の現象、社会の歴史。同じ一つの素材から、これほど豊かな学びと発見が生まれる。これこそが「発芽ブログ」の面白さです。
国語編:フェンスの向こうに広がる景色
「境界なのに、なぜか自由を感じさせてくれた金網」
校庭の金網フェンスに指をかけて、向こう側を眺めていた子ども時代。見えているのに行けない、そんな矛盾が想像力をかき立てていました。
感覚的な記憶(ざらりとした触感、鉄の匂い、熱さ)から始まって、言葉にしづらい体験を丁寧に掘り起こす。国語的アプローチは、「当たり前だった日常」に隠れていた小さな物語を見つけ出してくれました。
印象的だった発見
金網は単なる「壁」ではなく、想像力への「入り口」だった。
国語編を読む▼

算数編:網目にひそむ数字の物語
「手のひら一つ分に、400個ものマス目があるなんて!」
1センチ網目と5ミリ網目、たった5ミリの違いが4倍の密度差を生む。学校のフェンス全体では、なんと3,200万個ものマス目があるという計算結果。
身近なスケール感(手のひら、教室、学校)を使って、普段は見過ごしている「巨大な数字の世界」を体感させてくれました。
印象的だった発見
針金の太さが1ミリ変わるだけで、材料費が2倍以上変わる現実。
算数編を読む▼

理科編:錆びない工夫と素材の科学
「ステンレスの傷は、数秒で自己修復している」
見た目は似ていても、ステンレス、亜鉛メッキ、普通の鉄では全く違う科学的性質を持っている。特に「犠牲防食」という亜鉛の身代わり反応は、まるで騎士道精神のような化学現象でした。
雨の日の水滴から表面張力を、金網の構造から力学を学ぶ。身近な現象が理科の教科書の内容と繋がる瞬間が印象的でした。
印象的だった発見
不動態皮膜の自己修復能力という、SF映画のような現象が日常のフェンスで起こっていること。
理科編を読む▼

社会編:暮らしと社会を支える境界の技術
「江戸時代の人が現代の金網を見たら、きっと驚くでしょうね」
竹垣、生け垣、石垣から始まった境界づくりの歴史。明治時代の「金網革命」が学校教育や都市計画に与えた影響。そして各国の文化が反映された金網の使われ方の違い。
教育、スポーツ、防災など、現代社会のあらゆる場面で金網が果たしている役割の大きさに気づかされました。
印象的だった発見
戦後復興期の団地に金網が使われたのは、単なる経済的理由だけでなく「みんなで見守る安全な街づくり」という社会思想も背景にあったこと。
社会編を読む▼

この4つの記事を読んで、あなたの中で何が変わりましたか?
シリーズ全体を振り返ってみると、面白い発見があります。それぞれの記事で扱った内容が、実は微妙に重なり合っていることです。
- 国語編の「境界と自由」←→ 社会編の「境界の技術史」
- 算数編の「材料費の計算」←→ 理科編の「素材による性質の違い」
- 理科編の「構造力学」←→ 社会編の「社会インフラとしての役割」
これは偶然ではありません。現実の世界では、国語・算数・理科・社会の境界なんて存在しないからです。一つの現象を深く理解するには、複数の視点が必要なのです。
「発芽ブログ」の可能性
今回の金網シリーズで実証できたのは、身の回りのどんなものでも「学びの宝庫」になるということです。
次は何を題材にしましょうか?
- 信号機
- 自動販売機
- マンホールの蓋
- コンビニのレシート
- 公園のベンチ
どれも一見「普通すぎる」ものばかり。でも、4つの教科の視点で掘り下げれば、きっと予想もしない発見が待っているはずです。
あなたも「発芽ブログ」を試してみませんか?
このシリーズを読んだあなたなら、もう「発芽ブログ」の手法を理解しているはずです。
ステップ1:身近なものを一つ選ぶ
難しく考えず、今見えるものから
ステップ2:4つの視点で考えてみる
- 国語:思い出や体験、感情を言葉にする
- 算数:数字やサイズ、計算できることを探す
- 理科:仕組みや材料、科学的な背景を調べる
- 社会:歴史や文化、社会との関わりを考える
ステップ3:一つずつ記事にしてみる
完璧を目指さず、気づいたことを素直に
きっと、自分でも驚くような発見があることでしょう。
おわりに:種から芽へ、芽から森へ
「金網」という小さな種から始まったこのシリーズ。4つの記事という芽が出て、今はそれぞれが独立した学びの木として成長しています。
でもこれで終わりではありません。読んでくださったあなたの中で、新しい好奇心の種が芽吹いているかもしれません。それがやがて、あなた自身の「発芽ブログ」として花開くかもしれません。
一つの小さな気づきが、無限の学びに広がっていく。それが「発芽ブログ」の目指す世界です。
身の回りに転がっている「当たり前のもの」が、実は「学びの宝石」だったと気づいたとき。きっとあなたの日常は、今までとは違って見えることでしょう。
次回予告
発芽ブログワークショップ次回作にもご期待ください。今度はどんな身近なものから、どんな物語が芽吹くのか。お楽しみに!
シリーズ一覧
発芽プロジェクトのワークショップは大阪市中央区南船場のオフィスで開催しています。無料で参加可能ですので、ご希望の曜日と時間帯を選んでお申込みください。
発芽ブログ一覧

-
発芽プロジェクト
Weconomy(我々経済)とは何か|「Meconomy」から「我々欲」へ
「Weconomy(ウィコノミー)」という言葉を聞いたことがあるだろうか。“私たち(We)”と“経済(Economy)”を掛け合わせた造語であり、21世紀の資本主義の限界を超える新しい潮流を象徴している。 私はこの言葉を日本語に訳すとき、こう呼びたいと思った。... -
発芽プロジェクト


累積コストではなく、累積削減だ|マイナポイント3万円のROI 589.8%を検証する
「毎年3万円を配るなんて、国の財政がもたない」――そう感じた人も多いだろう。 しかし、数字で検証すると、見えてくる世界はまったく違う。 ※本稿は、前稿「我々欲マイナポイント制度」に基づく財政的検証篇です。制度の思想的背景や全体構造については、... -
発芽プロジェクト


住民税の境界を超えるとき|関係人口と憲法が示す“我々欲”の新しい自治
少子高齢化が進み、地方と都市の格差が広がるいま、「住んでいるところの税金はその地域だけで使う」という前提が、静かに崩れ始めている。関係人口という言葉が示すように、人と地域の関わり方は多層化している。この変化をどう制度に落とし込むか。その... -
発芽プロジェクト


我々欲マイナポイント制度〜スポーツリーグに学ぶ自治体間財政調整の新しい形〜
ふるさと納税をブーストする次世代の地方創生 提言者:夫 太男作成日:2025年10月22日 第1章:日本が直面する危機 1-1. 東京一極集中の加速 日本は世界でも稀に見る「一極集中国家」です。 東京圏(1都3県)の人口: 約3,700万人 日本の総人口の約30% 世... -
発芽プロジェクト


日本の少子化を解決する「祖父母育て」という選択肢
少子化、教育費高騰、共働き疲弊──これらの社会課題を、経済・文化・制度・心理の多面から読み解く「発芽メソッド」の視点で考察する。ここで提案するのは、家族の再設計ともいえる「祖父母育て」モデルである。 疲弊する日本の家庭──ある夫婦の朝 「子ど... -
発芽プロジェクト


応用編|発芽ブログ 脱4教科で新たな4視点の応用
発芽ブログの基本は「国語・算数・理科・社会」の4教科で記事を整理することでした。 この型はシンプルでわかりやすく、誰でもすぐに使える入り口です。 発芽ブログについてはこちら▼ https://bit.gr.jp/hatsuga-blog/ けれども、書き慣れてくると「もう少... -
発芽プロジェクト


発芽メソッド:1つのものから無限の価値を見出す多面的思考法
「この商品、もっと活かせる方法はないだろうか」 「一つのテーマから、もっと多くの可能性を見つけたい」 そんな思いを抱く零細企業経営者のために開発されたのが「発芽メソッド」です。 発芽メソッドとは 発芽メソッドとは、1つのテーマや商品を「国語・... -
発芽プロジェクト


フィーカップから広がる学びの世界
【発芽メソッド実践者・学習者の皆さまへ】 「発芽メソッドの手法は理解できたけれど、実際にクライアント案件でどう活用すればいいの?」 「商品紹介記事に4教科アプローチを取り入れる具体例が見たい」 「ワークショップで学んだことを、実践でどう展開... -
発芽プロジェクト


発芽カリキュラム〜日本型STEAMの可能性〜
弊社の取り組み:発芽カリキュラムの定義 弊社では、一つのテーマを複数教科で統合的に学習する手法を「発芽カリキュラム」と呼んでいます。この名称は、小さな種(テーマ)から様々な学びが芽吹く様子を表現したものです。 発芽カリキュラムの基本構造 実... -
発芽プロジェクト


発芽プロジェクトとは?ブログ・教育・ビジネスで実践するメソッド
「発芽」プロジェクトとは? 発芽プロジェクトとは、発芽メソッドを用いて一つの種から森を育てる思考法を使ったプロジェクトのことを指します。発芽メソッドとは日常の出来事やアイデアを多方面に展開し、ブログ運営、学習、ビジネスなどで成果を生み出す...









