Business Is There. 仕事は、そこにある。

長く仕事をしていると、「仕事をする場所」というものが決まってくる。
会社員なら会社。 経営者なら事務所。 パソコン仕事ならデスクの前。
私も20年以上、Web制作会社を経営してきて、「仕事をする場所」は事務所だと思っていた。
ところが最近、その感覚が少し変わってきた。
きっかけは、長年使ってきた事務所を引き払うことだった。
最初は経費削減の意味合いが大きかった。
固定費を減らす。 使わなくなったものを処分する。 仕事のやり方を見直す。
言ってしまえば、会社を小さくする作業である。
ところが実際に動き始めると、どうも違う。
小さくしているというより、仕事をする場所が広がっているのではないか。
そんな感覚が出てきた。
そこで思いついた言葉が、
Business Is There.
「仕事は、そこにある。」
という考え方だ。
事務所をなくすのではなく、仕事場を広げる
事務所がなくなれば、仕事をする環境は狭くなる。
以前なら、そう考えていたと思う。
ところがノートパソコンとスマートフォンがあれば、Web制作やサイト管理、文章作成、顧客との連絡など、かなりの仕事が場所を選ばなくなった。
自宅でもできる。
カフェでもできる。
取引先でもできる。
旅先でもできる。
必要ならコワーキングスペースや貸会議室を使えばいい。
そう考えると、固定された一つの事務所を持たないことは、「仕事場を失うこと」ではない。
むしろ、
仕事場を街全体に広げることなのかもしれない。
場所が変われば、見えるものが変わる
場所を変えるメリットは、家賃や交通費といった経費だけではない。
場所が変われば、会う人が変わる。
会う人が変われば、聞く話が変わる。
見るものが変われば、気づく課題も変わる。
ずっと同じ事務所の同じ机に座っていると、仕事はどうしても「今ある仕事」の延長線上で考えがちになる。
しかし外に出ると、自分たちとは違う仕事をしている人に会う。
知らなかった仕組みを見る。
不便そうな作業を目にする。
「これ、もっと簡単にできるんじゃないか」
そんな小さな気づきが生まれる。
それが新しいサービスや仕組みの種になることもある。
効率化だけが新しい働き方ではない
リモートワークやノマドワークというと、
通勤時間がなくなる。 事務所代が減る。 好きな場所で働ける。
そんな「効率化」の話になりやすい。
もちろん、それも大きなメリットだ。
でも、それだけなら単なるコスト削減で終わってしまう。
私が最近面白いと思っているのは、その先だ。
場所を変えることで、仕事そのものが変わる可能性がある。
知らない人と話す。
知らない業界を見る。
知らない課題に出会う。
そこで自分たちが持っているWebやAI、業務改善の知識を掛け合わせてみる。
すると、それまで存在しなかった仕事が生まれるかもしれない。
新しいアイデアを一つ考えた。
新しい人と知り合った。
誰かの困りごとを一つ知った。
文章を一本書いた。
小さな仕組みを一つ作った。
それらは今日の売上にはならなくても、半年後の仕事になるかもしれない。
仕事を探し回るという意味ではない
Business Is There.
この言葉には、「営業に出て仕事を探し回ろう」という意味を込めているわけではない。
むしろ逆だ。
自分がいろいろな場所へ動き、いろいろな人と接し、いろいろな世界を見る。
すると、そこにすでに仕事の種があることに気づく。
取引先にもある。
地域にもある。
旅先にもある。
日常生活の中にもある。
Web制作会社だから、Webサイトだけを見ている必要はない。
AIを使う会社だから、パソコンの前だけにいる必要もない。
現場には課題がある。
そして、その課題と自分たちの技術がつながったところに、新しい仕事が生まれる。
Business Is There.
20年以上続けた事務所を離れることになって、最初は「縮小」という感覚もあった。
でも今は少し違う。
会社を小さくしているのではない。
会社と外の世界を隔てていた壁を一枚なくしている。
そう考えると、ちょっと面白くなる。
仕事は事務所にあるわけではない。
パソコンの中だけにあるわけでもない。
人がいて、場所があって、何かの課題があれば、そこに仕事の可能性がある。
Business Is There.
仕事は、そこにある。
事務所をなくすのではなく、仕事場を広げる。
これからのBitの働き方を、この言葉とともに考えていきたい。
